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大野城心のふるさと館 Onojo Cocoro-no-furusato-kan City Museum

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館長の部屋

更新日:2019年05月11日

大野城心のふるさと館 館長

館長

赤司 善彦(あかし よしひこ)

館長からのメッセージ

 

 5月になりました。

 新しく令和の時代を迎えました。天皇陛下の即位を祝う記帳所が当館の1階に設けられました。市民の皆さんが祝意を表し、新しい時代をことほぐ、すがすがしい雰囲気がロビーに漂っていました。
 一連の即位の礼では、10月22日の即位礼正殿の儀の儀式も待たれますが、古代の歴史を学ぶものにとって、一連の即位の礼の後に行われる大嘗祭(だいじょうさい)は、故実にふれることのできる機会です。
 大嘗祭とは、即位後に初めて執り行われる一度きりの新嘗祭(にいなめさい)で、格別なものなのです。古来より毎年11月に天皇が新穀を神に捧げて五穀豊穣を祈る祭りが新嘗祭です。現在では国民の祝日である勤労感謝の日となっています。なぜ11月に新嘗祭・大嘗祭が執り行われたかといいますと、昔は旧暦を用いていた名残です。つまり、旧暦11月卯の日は、現在の暦では12月終わりごろです。ちょうど冬至の前後にあたります。冬至は日が一番短くなり、翌日から日はまた長くなっていきます。大嘗祭も太陽が再生するように「日の御子の再生」を象徴する儀礼だと民俗学者は考えています。
 さて、大嘗祭の儀礼が史料で確実なのは、天武天皇(673年即位)の時です。その後は、国家的祭祀として式の内容も徐々に変化していきました。私たちが知りえる大嘗祭の姿は、平安貴族の史料や公開された平成の映像などほんの一部分にすぎません。それでも大嘗祭に供える稲をつくる斎田の占いや、儀礼のための掘立柱建物にいたるまで、歴史そのものが千年のときを超えて伝承されていることには驚くばかりです。もちろん、民俗事例にも同じようなマツリが残されていますし、各地で盛んな秋の農業祭りも本来は神様への収穫祭の名残でしょう。
 弥生時代に水稲耕作が日本列島で定着していく中で、人々は天と地あらゆる神様に雨や太陽の恵みを感謝したマツリを必ず行っていました。そのころの原初的なマツリの姿は形を変えてしまっていると思われます。それでも千年以上前のマツリを考えるヒントが、古来の定めを守る新嘗祭・大嘗祭の儀礼にあるのではないかと思われるのです。
 今日のような米余りの時代には想像もできませんが、昔は大量に稲は作れませんし、凶作の時には多くの人が飢えに苦しんだことでしょう。原初のマツリに思いをめぐらすことは、どんなに新しい価値観に触れ、進化したとしても、自然との共生と尊崇いう人間の美徳に立ち返らせてくれるような気がします。

令和元年5月7日
 
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1957年福岡県生まれ
 
専門分野
古代の大宰府や古代山城、主に朝鮮半島との対外交流、近年は水中遺跡の調査研究。
 
経歴(年度)
1984年~ 福岡県教育庁文化課技師
1985年~ 九州歴史資料館で大宰府史跡の調査研究に従事。その後、福岡県教育庁北筑後教育事務所等で勤務。
2000年~ 九州国立博物館の設立準備に従事。
2005年~ 九州国立博物館展示課長
2014年~ 福岡県教育庁総務部文化財保護課長、副理事兼文化財保護課長を経て2017年3月に退職。
      その後九州歴史資料館企画主幹にて再任用。
2018年~ 市民ミュージアム 大野城心のふるさと館館長に就任し、現在に至る。
 
業績 2018年~
著作等
  • 「世界の水中遺跡の保存と活用」『水中遺跡の歴史学』山川出版社2018.3
  • 「大宰府の都市の造営」『大宰府への道―古代都市と交通―』九州歴史資料館2018.4
  • 「博多をめざした交易船をさがす」『西日本文化』478 2018.7
  • 「公立博物館意識改革待ったなし」『西日本新聞』朝刊2018.7.21
  • 「朝鮮式山城の特徴―主に兵站と備蓄―」鞠智城・古代山城シンポジウム資料集2018.10
  • 「大宰府の都市と古代山城 The city of Ancient Dazaifu and mountain forts」イコモス・ICOFORT 国際会議2018論文集 2018.10
  • 「古代山城とGIS―大野城・基肄城・阿志岐山城の眺望を中心としてー」『大宰府の研究』高志書院2018・11
 
講演等
1月10日「古代の土木技術について」九州産業大学建築都市工学部 福岡市
1月17日「大宰府史跡の保存と活用」 文化遺産セミナー インドデリー 
2月14日「大宰府と羅城」「もっと知ろう 大宰府講座」古都大宰府保存協会 太宰府市
5月25日「博物館の楽しみ方1」大野城市山城塾 まどかぴあ 大野城市
6月17日「災害時における福岡県の対応」『災害と文化遺産』「第3回九州文化財保存学研究会」別府大学 別府市
7月27日「博物館の楽しみ方2」大野城市山城塾 大野城心のふるさと館 
10月13日「大宰府史跡発掘調査50年」太宰府市発見塾 太宰府館 太宰府市
10月14日「朝鮮式山城の特徴」鞠智城・古代山城シンポジウム 明治大学 東京都千代田区
10月15日「大野城心のふるさと館がめざすもの」福岡県市長会研修会 大野城心のふるさと館
 
館外の委員等(2018年4月~)
文化庁水中遺跡調査検討委員会副委員長
文化庁水中遺跡調査検討委員会協力者会議 
九州国立博物館買取評価委員
福岡県・春日市文化財専門委員
鹿児島県・瀬戸内町近代遺跡調査検討委員会委員長
鹿児島県・伊仙町生涯活躍のまちづくり町有地・施設利用構想検討委員
鹿児島県・徳之島町水中遺跡指導委員会委員
佐賀県・佐賀市東名遺跡整備基本計画策定委員会委員
長崎県・対馬市有識者会議構成員(対馬市博物館建設推進会議)
公益財団法人古都大宰府保存協会顧問
独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所客員研究員
九州国立博物館名誉館員