館長の部屋
更新日:2025年1月1日
赤司 善彦(あかし よしひこ)
1月
あけましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願い致します。
皆さまはどのように正月を過ごされたでしょうか。初日の出や初詣、あるいは年始のごあいさつに出かけることや、お屠蘇を頂き、お雑煮やおせちを食べるなど、各家庭でさまざまな行事がなされたことと拝察します。
最近はあまり聞かないのですが、どこにも出かけずただ寝ているだけの「寝正月」という言葉もあります。俳句では新年の季語にもなっていました。
例えば、高浜虚子の「目出度さや老いて互に寝正月」が知られています。
本来は大晦日から寝ないで初日の出とともに年神様を迎える風習があり、そのために元旦は寝て過ごしていたことが寝正月の由来のようです。昔の人はご先祖様が年神様となって、初日の出とともに来訪されて、子孫に多くの幸と恵みをもたらしてくれるのだと信じられていました。門松やしめ飾りを飾るのも、実は年神様をお迎えするためのものだったのです。お正月とは私たちが楽しく暮らせるようにと年神様がやってくる、とてもおめでたい期間ということだと思います。
正月行事は、先祖供養を根底にして生まれ、各地で形を変えながら伝わったのでしょう。現代では、家々や人ごとにいろんなお正月の過ごし方がなされるようになりました。年神様を拝むことも少なくなりましたが、すこやかな一年を願うことは変わっていません。私事ですが、かつて正月に家族を初詣に誘うと、初売りにも行って福袋を買いたいと子供たちにせがまれました。行事というよりイベントと呼ぶべきかもしれません。年賀状がメールで届く在り方も含めて今なのでしょう。
さて、当館では、年明けより特別展『発掘された日本列島2024』を開催しています。
この展覧会は文化庁が1995年に始めた巡回展で、全国の遺跡から出土した資料をいち早くお見せするのがねらいです。今年は30年の記念展です。北海道のピリカ遺跡出土石器など、見ごたえのある資料が数多く出陳されています。観覧されると新春運だめしの「掘る掘るみくじ」も引くことができます。
これから寒くなります。お出かけの際は暖かくしてご来館ください。皆さまを心よりお待ち申しあげます。
令和7年正月
市民ミュージアム大野城心のふるさと館 館長赤司善彦
- 「世界の水中遺跡の保存と活用」『水中遺跡の歴史学』山川出版社2018.3
- 「大宰府の都市の造営」『大宰府への道―古代都市と交通―』九州歴史資料館2018.4
- 「博多をめざした交易船をさがす」『西日本文化』478 2018.7
- 「公立博物館意識改革待ったなし」『西日本新聞』朝刊2018.7.21
- 「朝鮮式山城の特徴―主に兵站と備蓄―」鞠智城・古代山城シンポジウム資料集2018.10
- 「大宰府の都市と古代山城 The city of Ancient Dazaifu and mountain forts」イコモス・ICOFORT 国際会議2018論文集 2018.10
- 「古代山城とGIS―大野城・基肄城・阿志岐山城の眺望を中心としてー」『大宰府の研究』高志書院2018・11
- 「大宰府政庁前面域」『都府楼』50 公財古都大宰府保存協会 2018.11
- 「市民ミュージアム 大野城心のふるさと館」『歴史と地理 日本史の研究』264山川出版社2019.3
- 「市民ミュージアム 大野城心のふるさと館 こどもたちが歴史を体感する場」『歴博』213 2019.3 国立歴史民俗博物館
- 「大宰府と古代山城の誕生」・「大野城の研究成果」ほか『大宰府学研究』九州国立博物館アジア文化交流センター研究論集1 2019.3
注:「」は論題、『』は書籍名となります。
- 文化庁水中遺跡調査検討委員会副委員長
- 文化庁水中遺跡調査検討委員会協力者会議委員
- 日本学術振興会関連委員
- 福岡県・大野城市まち・ひと・しごと創生有識者会議委員
- 福岡県・春日市文化財専門委員
- 福岡県・久留米市文化財保存活用地域計画協議会委員
- 佐賀県・佐賀市東名遺跡整備基本計画策定委員会委員
- 長崎県・対馬市有識者会議構成員(対馬市博物館建設推進会議)
- 鹿児島県・瀬戸内町近代遺跡調査検討委員会委員長
- 鹿児島県・伊仙町生涯活躍のまちづくり町有地・施設利用構想検討委員
- 鹿児島県・徳之島町水中遺跡指導委員会委員
- 鹿児島県・天城町水中遺跡調査指導委員
- 鹿児島県・奄美市小湊フワガネク遺跡保存活用計画策定委員会委員
- 鹿児島県・与論町与論城跡調査指導委員会委員
- 九州国立博物館名誉館員
- 独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所客員研究員
- 公益財団法人古都大宰府保存協会顧問
- 日本考古学協会会員
- 九州考古学会会員