館長の部屋
更新日:2023年7月1日
赤司 善彦(あかし よしひこ)
7月
開館5周年を迎えて
大野城心のふるさと館は、平成30(2018)年7月21日に開館し、今月5周年を迎えました。市民の皆様をはじめ多くの方々にご来館いただいたことに、スタッフ一同心より感謝申し上げます。
5年前は試行錯誤での船出ではありましたが、少し安定運航に慣れてきた2年目に新型コロナ感染症の流行が始まりました。その後は閉館も余儀なくされるなど、必ずしも順風満帆とはいきませんでした。しかし、子どもたちがおうちで楽しく学べる「おうちミュージアム」に参加したり、職員による授業形式での「ここふる学校」という動画配信をしたりなど、新しい試みに挑戦する機会となりました。これからもさまざまな動画や文章などでの企画内容を外部発信したいと思います。
ところで、大野城心のふるさと館で過ごしていると、他の博物館では見ない光景に出会います。1階の未就学児のコーナーでは、四王寺山をモチーフにしたすべり台あたりで小さな体を小鹿のように跳ねて全身で楽しんでいる幼子の姿を目にします。2階では、大野城跡の城壁の高さを体感するクライミングに熱中する子どもたちの姿があります。
小さい時から市内の文化財に触れてもらおうという館側の目論見など笑い飛ばすような笑顔で喜びがみなぎっています。このような姿を見ると、あまり理屈や目的を考えずに、子どもたちが喜ぶ姿を思い描きながら、さまざまな事業を考えることが大事だなと感じています。この館の中で思い出作りができることこそ、後に大きくなって思い出すこともなくふるさとを思い出すことにつながるのではないかと考えます。
子ども・歴史・にぎわいをキーワードに、地域文化に根差して世代を超えた人たちが集う場としての市民ミュージアムを創るという初心に立ち返って、これからも充実した活動を行い、次の10周年につなげていきます。
令和5年7月1日
市民ミュージアム大野城心のふるさと館長 赤司善彦

- 「世界の水中遺跡の保存と活用」『水中遺跡の歴史学』山川出版社2018.3
- 「大宰府の都市の造営」『大宰府への道―古代都市と交通―』九州歴史資料館2018.4
- 「博多をめざした交易船をさがす」『西日本文化』478 2018.7
- 「公立博物館意識改革待ったなし」『西日本新聞』朝刊2018.7.21
- 「朝鮮式山城の特徴―主に兵站と備蓄―」鞠智城・古代山城シンポジウム資料集2018.10
- 「大宰府の都市と古代山城 The city of Ancient Dazaifu and mountain forts」イコモス・ICOFORT 国際会議2018論文集 2018.10
- 「古代山城とGIS―大野城・基肄城・阿志岐山城の眺望を中心としてー」『大宰府の研究』高志書院2018・11
- 「大宰府政庁前面域」『都府楼』50 公財古都大宰府保存協会 2018.11
- 「市民ミュージアム 大野城心のふるさと館」『歴史と地理 日本史の研究』264山川出版社2019.3
- 「市民ミュージアム 大野城心のふるさと館 こどもたちが歴史を体感する場」『歴博』213 2019.3 国立歴史民俗博物館
- 「大宰府と古代山城の誕生」・「大野城の研究成果」ほか『大宰府学研究』九州国立博物館アジア文化交流センター研究論集1 2019.3
注:「」は論題、『』は書籍名となります。
- 文化庁水中遺跡調査検討委員会副委員長
- 文化庁水中遺跡調査検討委員会協力者会議委員
- 日本学術振興会関連委員
- 福岡県・大野城市まち・ひと・しごと創生有識者会議委員
- 福岡県・春日市文化財専門委員
- 福岡県・久留米市文化財保存活用地域計画協議会委員
- 佐賀県・佐賀市東名遺跡整備基本計画策定委員会委員
- 長崎県・対馬市有識者会議構成員(対馬市博物館建設推進会議)
- 鹿児島県・瀬戸内町近代遺跡調査検討委員会委員長
- 鹿児島県・伊仙町生涯活躍のまちづくり町有地・施設利用構想検討委員
- 鹿児島県・徳之島町水中遺跡指導委員会委員
- 鹿児島県・天城町水中遺跡調査指導委員
- 鹿児島県・奄美市小湊フワガネク遺跡保存活用計画策定委員会委員
- 鹿児島県・与論町与論城跡調査指導委員会委員
- 九州国立博物館名誉館員
- 独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所客員研究員
- 公益財団法人古都大宰府保存協会顧問
- 日本考古学協会会員
- 九州考古学会会員