館長の部屋
更新日:2024年12月1日
赤司 善彦(あかし よしひこ)
12月
今日からこよみも師走に入りました。先週までは毎日のように雨が降ったり、止んだりのお天気が続いていました。この秋から冬にかけて降る冷たい通り雨のことを時雨(しぐれ)と呼んでいます。
ところで、この時雨の時期に合わせるように、山も色とりどりに紅葉します。いにしえには、時雨が木々の葉を赤や黄色に染めると考えられていました。現代のように、太陽光が弱くなり、気温も低下して葉の細胞が変化して紅葉することは分かっていませんでした。紅葉は、白布を染料に浸すと、美しい色に染まるのと同じことで、時雨が染料だと考えられていたのでしょう。
万葉集に四王寺山の紅葉の歌があります。「いちしろく時雨の雨は降らなくに大城の山は色づきにけり」という作者不明の歌です。「それほど時雨が降ったわけでもないのに、大城の山(四王寺山)は色づいていますね」という意味です。
萬葉びとも愛した四王寺山の散策がこの時期おすすめです。四王寺県民の森には散策モデルコースも用意されています。特別史跡大野城跡の土塁も草が枯れて歩きやすいのです。
ところで、この時期は昼間でも太陽の位置が低いので虹が見やすくなっています。しかも、時雨の雨は降り始めてもほどなく止みます。すぐそばで日が差すことが多く、一日に何度も虹を見るチャンスに恵まれた時期なのです。この虹を「時雨虹」と言うそうです。これから寒くなりますが、紅葉が終わっても虹を見る楽しみは続きそうです。
最後に、現在当館向かいの「まどかぴあ広場」では、「大野城ウィンターイルミネーション2024」を開催中です。夜の虹のようなイルミネーションも楽しんでください。クリスマスイベントとともに皆さまのご来館をお待ち申し上げます。
令和6年12月1日
市民ミュージアム大野城心のふるさと館 館長赤司善彦
- 「世界の水中遺跡の保存と活用」『水中遺跡の歴史学』山川出版社2018.3
- 「大宰府の都市の造営」『大宰府への道―古代都市と交通―』九州歴史資料館2018.4
- 「博多をめざした交易船をさがす」『西日本文化』478 2018.7
- 「公立博物館意識改革待ったなし」『西日本新聞』朝刊2018.7.21
- 「朝鮮式山城の特徴―主に兵站と備蓄―」鞠智城・古代山城シンポジウム資料集2018.10
- 「大宰府の都市と古代山城 The city of Ancient Dazaifu and mountain forts」イコモス・ICOFORT 国際会議2018論文集 2018.10
- 「古代山城とGIS―大野城・基肄城・阿志岐山城の眺望を中心としてー」『大宰府の研究』高志書院2018・11
- 「大宰府政庁前面域」『都府楼』50 公財古都大宰府保存協会 2018.11
- 「市民ミュージアム 大野城心のふるさと館」『歴史と地理 日本史の研究』264山川出版社2019.3
- 「市民ミュージアム 大野城心のふるさと館 こどもたちが歴史を体感する場」『歴博』213 2019.3 国立歴史民俗博物館
- 「大宰府と古代山城の誕生」・「大野城の研究成果」ほか『大宰府学研究』九州国立博物館アジア文化交流センター研究論集1 2019.3
注:「」は論題、『』は書籍名となります。
- 文化庁水中遺跡調査検討委員会副委員長
- 文化庁水中遺跡調査検討委員会協力者会議委員
- 日本学術振興会関連委員
- 福岡県・大野城市まち・ひと・しごと創生有識者会議委員
- 福岡県・春日市文化財専門委員
- 福岡県・久留米市文化財保存活用地域計画協議会委員
- 佐賀県・佐賀市東名遺跡整備基本計画策定委員会委員
- 長崎県・対馬市有識者会議構成員(対馬市博物館建設推進会議)
- 鹿児島県・瀬戸内町近代遺跡調査検討委員会委員長
- 鹿児島県・伊仙町生涯活躍のまちづくり町有地・施設利用構想検討委員
- 鹿児島県・徳之島町水中遺跡指導委員会委員
- 鹿児島県・天城町水中遺跡調査指導委員
- 鹿児島県・奄美市小湊フワガネク遺跡保存活用計画策定委員会委員
- 鹿児島県・与論町与論城跡調査指導委員会委員
- 九州国立博物館名誉館員
- 独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所客員研究員
- 公益財団法人古都大宰府保存協会顧問
- 日本考古学協会会員
- 九州考古学会会員